(B) 23. [桃色系バラ/四季咲き/八重咲き] - 5
〈もくじ〉
(1) HT「オフィーリア(Rosa 'Ophelia')」
(2) HT「マダム・バタフライ(Rosa 'Madame Butterfly')」
(3) HT「ゴールデン・オフィーリア(Rosa 'Golden Ophelia')」
(4) HT「マダム・エドゥアール・エリオ(Rosa 'Madame Édouard Herriot')」
(5) HT「コンデサ・デ・サスタゴ(Rosa 'Condesa de Sástago')」
(1) HT「オフィーリア(Rosa 'Ophelia')」/ハイブリッド・ティ・ローズ
初期のハイブリッド・ティ・ローズ(HT)系は、ティ・ローズ(T)系とハイブリッド・パーペチュアル・ローズ(HP)系の交配で誕生し、四季咲き性、木立性、大輪花が特徴ですが、一度に咲く花数は多くありません。
四季咲き性 八重咲き
木立性で直立形 樹高 1.0~1.3m
花色は象牙色がかった淡桃色で花径10cmほど、花弁25~30枚の剣弁高芯咲き。香りはダマスク系+フルーツ系+ティ系の中~強香。この香りには「オフィーリア香」の名があります。
発表: 1912年、イギリス
発表者: ウイリアム・ポール & サン(William Paul & Son)
交配: 不明または Antoine Rivoire の実生。
・ T「アントワーヌ・リヴォワール(Rosa 'Antoine Rivoire')」
1895年にフランスで作出された、花色は淡桃色で花径9㎝ほど、花弁25~40枚の八重咲き。香りはティ系の中香。作出者はジョゼフ・ペルネ=デュシェ(Joseph Pernet-Ducher、1859~1928年)。交配:T「Dr. Grill」× HT「Lady Mary Fitzwilliam」
☆ 「オフィーリア(Ophelia)」の名前で思い浮かぶのは、シェイクスピア(William Shakespeare、1564~1616年)の悲劇『ハムレット(Hamlet)』の登場人物の「オフィーリア」です。
HT「オフィーリア(Rosa 'Ophelia')」はイギリス生まれのバラでもあることですし…と、疑いもせずに『Hamlet』と結びつけましたが、あまりにも短絡思考かと反省し、該当しそうな「オフィーリア」が他に存在しまいかと探してみましたが、成果はありませんでした。
『ハムレット』の「オフィーリア」像は、創作に携わる人間のインスピレーションを刺激するようですから、このバラの名も『ハムレット』由来ということで、落ち着くかと思いますが…。
美しい女性をバラに例えるのは、常套句にすぎず、特別な意味はないとも思いますが、『ハムレット』の台詞の中にもあります。「5月のバラ」は育種家には感じるものがあるようです。
劇中(4幕5場)で、狂気のオフィーリアを見た兄のレアティーズ(Laertes)は、妹に「5月のバラ」と呼びかけます。
Laertes:
By heaven, thy madness shall be paid by weight, (156)
Till our scale turn the beam. O rose of May! (157)
Dear maid, kind sister, sweet Ophelia! (158)
レアティーズ:
必ず、おまえを狂わした者に仕返しをしてやる、
我らの(復讐の)目方が上回るほどに(思い知らせてやる)。
おゝ5月のバラ!
愛しい乙女、優しい妹、可愛いオフィーリア!
省略通称『ハムレット(Hamlet)』、正式名『デンマークの王子ハムレットの悲劇(The Tragedy of Hamlet, Prince of Denmark)』は、デンマークが舞台の芝居で、この戯曲には原話のハムレット伝説があるといわれています。
ハムレット伝説は、古い北欧説話集のあちこちにあり、1200年頃、デンマーク人のサクソー・グラマテイクス(Saxo Grammaticus)が編纂したラテン語の『デーン人(デンマーク人)の事績(Gesta Danorum)』(全16巻)の中の『デンマーク史(Historiae Danicae)』(第3巻と第4巻)にまとまりをもった話として収められたといわれています。
『デーン人(デンマーク人)の事績(Gesta Danorum)』の中の『デンマーク史(Historiae Danicae)』が初めて印刷されたのは16世紀初頭のことで、これは後にフランソワ・ドゥ・ベルフォレ(Francois de Belleforest)がフランス語に翻案訳をして、1570年発表の『悲劇史話集(Histoires Tragiques)』に収録したそうです。
この仏語本がイギリスに渡り、作者不明の『原ハムレット』と呼ばれている戯曲になって、1580年代末にロンドンで上演されて評判になり、この『原ハムレット』を基にシェイクスピアが戯曲を書いたというのが、定説のようです。
ハムレットの古潭というのは、「アムレス(Amleth)一代記」と呼ばれる北欧英雄伝説で、ハムレット(Hamlet)に当たる登場人物はアムレス(Amleth)ですが、オフィーリアに該当する若い女性には名が付されていないそうです。
では、シェイクスピアはオフィーリアの名をどこから導入したのでしょうか?
これに対する確かな答えはないようですが、推測としては、16世紀初頭の『アルカディア』という詩集が候補に挙がっています。
『アルカディア(Arcadia)』はナーポリの詩人ヤコポ・サンナッザーロ(Iacopo Sannazaro、1458~1530年)がイタリア語で書いて、ベネツィアで1504年に出版した詩集で、人気を博したといわれています。
『アルカディア』は、失恋したローマの若者がアルカディア(理想郷)にやって来て、のどかな田園で癒されるという自伝風の愛の物語で、12の散文と牧歌から成っているそうです。
ギリシア・ラテンの古典とイタリア詩の伝統を巧みに取入れた田園詩文集で、16世紀、イタリアのみならずヨーロッパ各地に流布したそうで、シェイクスピアの目に触れている可能性があります。
この詩集の中にオフェーリア(イタリア語で Ofelia)の名が出てくるそうです。
この語は古典ギリシア語の[ὠφέλειᾰ / ōphéleia(意味は、援助、救済)]由来の言葉と推定されているようです。
(2) HT「マダム・バタフライ(Rosa 'Madame Butterfly')」/ハイブリッド・ティ・ローズ
四季咲き性 八重咲き
木立性 樹高 0.8~1.3m
花色は淡桃色で花径9cm、花弁17~25枚の半剣弁高芯咲き。香りはダマスク系+フルーツ系+ティ系の「オフィーリア香」の中~強香。
発見: 1918年、アメリカ
発見者: エドワード・ガーニー・ヒル(Edward Gurney Hill、1847~1933年)
交配: Ophelia の枝変わり
・ HT「オフィーリア(Rosa 'Ophelia')」
1912年にイギリスで発表された、花色は象牙色がかった淡桃色で花径10cmほど、花弁25~30枚の剣弁高芯咲き。香りは「オフィーリア香」中~強香。発表者はウイリアム・ポール & サン(William Paul & Son)。交配:不明または Antoine Rivoire の実生。
☆ 花名は、『蝶々夫人(Madama Butterfly)』の主人公・蝶々夫人(Madama Butterfly)のイメージから命名されたそうです。
『蝶々夫人(Madame Butterfly)』の原作は、アメリア人のジョン・ルーサー・ロング(John Luther Long、1861~1927年)が1898年に発表した短編小説『マダム・バタフライ(Madame Butterfly)』です。
この短編小説は、1900年に劇作家デイヴィド・ベラスコ(David Belasco、1853~1931年)に戯曲化されてニューヨークで初演され、更に1904年には前述2作をベースにした台本のジャコモ・プッチーニ(Giacomo Puccini、1858~1924年)のオペラ『Madama Butterfly』がミラノのスカラ座(Teatro alla Scala)で初演されました。
(3) HT「ゴールデン・オフィーリア(Rosa 'Golden Ophelia')」/ハイブリッド・ティ・ローズ
四季咲き性 八重咲き
木立性 樹高 1.5mほど
花色は淡桃色に黄橙色をブレンドしたような色で花径10㎝、花弁17~25枚の半剣弁高芯咲き~剣弁高芯咲き。香りはダマスク系+フルーツ系の中~微香。
作出: 1918年、イギリス
作出者: ベンジャミン・R.・カント(Benjamin R. Cant、1827~1900年)
交配: Ophelia × Mrs. Aaron Ward
・ HT「オフィーリア(Rosa 'Ophelia')」
1912年にイギリスで発表された、花色は象牙色がかった淡桃色で花径10cmほど、花弁25~30枚の剣弁高芯咲き。香りはダマスク系+フルーツ系+ティ系の「オフィーリア香」中~強香。発表者はウイリアム・ポール & サン(William Paul & Son)。交配:不明または Antoine Rivoire の実生。
・HT「ミセス・アーロン・ワード(Rosa 'Mrs.Aaron Ward')」(又は「マダム・アーロン・ワード(Rosa 'Madame Aaron Ward')」
1907年以前にフランスで作出された、花色は桃色がかった黄色で花弁17~25枚の八重咲き中輪種。香りは中香。作出者はジョゼフ・ペルネ=デュシェ(Joseph Pernet-Ducher、1859~1928年)。交配:無名の実生×無名の実生。
(4) HT「マダム・エドゥアール・エリオ(Rosa 'Madame Édouard Herriot')」/ハイブリッド・ティ・ローズ
四季咲き性 八重咲き
木立性 樹高 0.8~1.0m
花色は黄褐色を帯びた桃色で咲き進むと褪色、花径8.5~10cmで花弁25枚の八重咲き。香りはティ系+ダマスク系の微香。
別名: The Daily Mail Rose
作出: 1913年以前、フランス
作出者: ジョゼフ・ペルネ=デュシェ(Joseph Pernet-Ducher、1859~1928年)
交配: Madame Caroline Testout × Soleil d'Or の実生
・ HT「マダム・カロリーヌ・テストゥ(Rosa 'Madame Caroline Testout)」
1887年にフランスで作出された、花色は桃色で花径8.5~10cm、花弁17~25枚の半剣弁カップ咲き。香りはティ系の微香。作出者はジョゼフ・ペルネ=デュシェ(Joseph Pernet-Ducher、1859~1928年)。交配:T「Madame de Tartas」 × HT「Lady Mary Fitzwilliam」
・ HFt「ソレイユ・ドール(Rosa 'Soleil d’Or')」
1885年以前にフランスで作出された、花色は黄色で花径12m、花弁26~40枚の八重咲き。香りはスパイス系の強香。作出者はジョゼフ・ペルネ=デュシェ(Joseph Pernet-Ducher、1859~1928年)。交配:HP「Antoine Ducher」× HFt「Rosa foetida f. persiana hort.ex Rehder」
☆ このバラは、エドゥアール・エリオ夫人に因むそうです。
エドゥアール・エリオ(Édouard Herriot、1872~1957年)はフランス第三共和制の急進社会党(Le Parti radical)の政治家で、1905年から1941年までリヨン市長を務め、その傍ら左翼連合内閣の首相、文相や国務相などを歴任しました。
別名:デイリー・メール・ローズ(The Daily Mail Rose)
1913年に、イギリスの日刊紙「デイリー・メール(Daily Mail)」社の「デイリー・メール賞」を受賞したそうで、この別名があります。
(5) HT「コンデサ・デ・サスタゴ(Rosa 'Condesa de Sástago')」/ハイブリッド・ティ・ローズ
四季咲き性 八重咲き
木立性 樹高 1.3m
花色は黄色がかった濃桃色で裏面が黄色、花径10cmで花弁50~55枚の八重咲き。香りはフルーツ系+スパイス系の中~微香。
作出: 1930年、スペイン(カタルーニャ)
作出者: ペドロ・ドット・マルティネス(Pedro Dot Martínez、1885~1976年)、 カタラン語(català/カタルーニャ自治州の公用語)では、ペレ・ドット・イ・マルティネス(Pere Dot i Martínez)
交配: (Souvenir de Claudius Pernet × Maréchal Foch)× Margaret McGredy
・ HT「スヴニール・ドゥ・クロディウス・ペルネ(Rosa 'Souvenir de Claudius Pernet')」
1920年にフランスで作出された、花色は明るい黄色で花径10㎝ほど、花弁28枚の半剣弁高芯咲き。香りは中香。作出者はジョゼフ・ペルネ=デュシェ(Joseph Pernet-Ducher、1859~1928)。交配:HT「Constance」× 無名の実生。
・ Pol「マレシャル・フォッシュ(Rosa 'Maréchal Foch')」
1918年にフランスで発見された、花色は濃桃色で花弁9~16枚の半八重咲き小輪種。香りは中香。発見者はエルネスト・ルヴァヴァスール(Ernest Levavasseur)。交配:Pol「Orléans Rose」の枝変わり。
・ HT「マーガレット・マグレディ(Rosa 'Margaret McGredy')」
1925年以前に北アイルランドで作出された、花色は橙色がかった濃桃色で花径10cm、花弁30~40枚の丸弁八重咲き。香りはすみれ香の中香。作出者はサミュエル・デイヴィドスン・マグレディ三世(Samuel Davidson McGredy III、1897~1934年)。交配:HT「The Queen Alexandra Rose」の実生。
☆ ペレ・ドットは、バルセロナ近郊のモニストロル侯爵(Marquès de Monistrol)領 ラ・トレブランカ(la Torreblanca)で生まれました。
このバイカラーのバラは、ラ・トレブランカ領主夫人のモニストロル侯爵夫人であるサスタゴ女伯爵(Condesa de Sástago)に献名されています。この女性はダブル・タイトル所有者で、モニストロル侯爵夫人で、サスタゴ女伯爵とのことです。
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by lathehana
| 2026-06-04 22:12
| 桃色系バラ
(B) 22. [桃色系バラ/四季咲き/八重咲き] - 4
〈もくじ〉
(1) HT「ラ・フランス(Rosa 'La France')」
(2) HT「マダム・カロリーヌ・テストゥ(Rosa 'Madame Caroline Testout')」
(3) HT「ヘルシューレン(Rosa 'Verschuren')」
(4) HT「マダム・ピエール・ウーレ(Rosa 'Madame Pierre Euler')」
(5) HT「セプテンバー・モーン(Rose 'September Morn')」
(6) HT「ラディアンス(Rosa 'Radiance')
(7) HT「エヴァ・ドゥ・グロスーヴル(Rosa 'Eva de Grossouvre')」
(1) HT「ラ・フランス(Rosa 'La France')」/ハイブリッド・ティ・ローズ
「ハイブリッド・ティ・ローズ(Hybrid Tea Rose/略号:HT)」は、一般的には、四季咲き性で大輪の花をつける木立樹形の品種といわれている、現代バラ(モダン・ガーデン・ローズ)の代表的な系統です。
初期のハイブリッド・ティ・ローズ(HT)は、花弁数が多い剣弁花で花径8~12cmほど、ダマスク系やティ系の香りが大多数で、ハイブリッド・パーペチュアル・ローズ(HP)とティ・ローズ(T)の交配で生まれました。
ハイブリッド・パーペチュアル・ローズ(HP)は雑多な品種を起源としていて、「オールド・ローズ(オールド・ガーデン・ローズ)」から「モダン・ローズ(モダン・ガーデン・ローズ)」に移行する橋渡し的系統のオールド・ローズで、ハイブリッド・ティ・ローズ(HT)は、モダン・ローズを代表する品種の一つといわれる系統です。
しかし、「モダン・ローズ」と「オールド・ローズ」の境界線は曖昧で、「オールド・ローズ」や「モダン・ローズ」には学術上の確たる定義はないそうです。
一般的には、1867年のハイブリッド・ティ・ローズ第1号の「ラ・フランス」誕生以降に作出されたバラをモダン・ローズ、「ラ・フランス」誕生以前に栽培されていたバラを「オールド・ローズ]と大雑把に説明されますが、「オールド・ローと呼ばれるバラ」が、1867年以前に栽培されていたものだけを指すわけではなく、「モダン・ローズ」と「オールド・ローズ」の境界は、キッチリとは分けられません。
四季咲き性 八重咲き
木立性 樹高 1.2mほど
花色は桃色で花径10cm、花弁40~60枚の剣弁高芯咲き。香りはダマスク系の強香。
作出: 1867年、フランス
作出者: ジャン=バチスト・アンドレ・(フィス)ギョー(Jean-Baptiste André (fils)Guillot、1827~1893年)
交配: Madame Falcotの実生
・ T「マダム・ファルコ(Rosa 'Madame Falcot')」
1858年にフランスで作出された、花色は桃色がかった淡黄色で花径12cmの半剣弁八重咲き。香りは微香。作出者は。ジャン=バチスト・アンドレ・(フィス)ギョー(Jean-Baptiste André (fils)Guillot、1827~1893年)。交配:T「Safrano」の実生。
☆ ハイブリッド・ティ・ローズ 第1号として有名な「ラ・フランス」ですが、発表当時は「ハイブリッド・パーペチュアル・ローズ」の1品種とみられていたそうです。
しかし、完全な四季咲き性などの特徴は「ハイブリッド・パーペチュアル・ローズ」の範疇に納まりきらず、新しい系統として「ハイブリッド・ティ・ローズ」が誕生したのだそうですが、新系統が認められたのは1893年になってからとのことで、「ラ・フランス」は発表から四半世紀経って「ハイブリッド・ティ・ローズ第1号」と認定されたそうです。
花名の「La France」は「フランス国」、つまりフランスの国名をも表しています。作出者ジャン=バチスト・アンドレ・ギョーの会心の一作に対する命名であったと思われます。
(2) HT「マダム・カロリーヌ・テストゥ(Rosa 'Madame Caroline Testout')」/ハイブリッド・ティ・ローズ
四季咲き性 八重咲き
木立性 樹高 0.8~1.0m
花色は桃色で花径8.5~10cm、花弁17~25枚の半剣弁カップ咲き。香りはティ系の微香。
作出: 1887年、フランス
発表: 1890年
作出者: ジョゼフ・ペルネ=デュシェ(Joseph Pernet-Ducher、1859~1928年)
交配: Madame de Tartas × Lady Mary Fitzwilliam
・ T「マダム・ドゥ・タルタ(Rosa 'Madame de Tartas')」
1859年にフランスで作出された、花色は淡桃色で花弁26~40枚の八重カップ咲き。香りはティ系の強香。作出者はピエール・ベルネード(Pierre Bernède、1824~1888年)。交配は不明。
・ HT「レディ・マリー・フィッツウィリアム(Rosa 'Lady Mary Fitzwilliam')」
1880年以前にイギリスで作出された、花色は淡桃色で花弁26~40枚の中輪カップ咲き。香りはダマスク系の強香。
作出者はヘンリー・ベネット(Henry Bennett、1823~1890年)。交配:T「Devoniensis」× HP「Victor Verdier」。
☆ ハイブリッド・ティ・ローズ 第1号として有名な「ラ・フランス」は結実しづらい品種で交配親としての適性は低いため、結実性が高い「レディ・マリー・フィッツウィリアム」と「マダム・カロリーヌ・テストゥ」は交配親としてよく使われたそうで、ハイブリッド・ティ・ローズが発展する過程で功績のあった品種といわれています。
花名は、グルノーブル出身で、パリとロンドンに流行のサロンをもつフランス人ドレス・メーカーのマダム・カロリーヌ・テストゥに因むそうです。
サロン宣伝のために、マダム・テストゥはジョゼフ・ペルネ=デュシェに、新しいバラの一つに自分の名前を付けてほしいと頼んだそうです。やがて作出され「マダム・カロリーヌ・テストゥ」と命名された新しいバラは、1890年のマダム・テストゥ・サロンで開催された春のファッション・ショーで発表されたとのことです。
(3) HT「ヘルシューレン(Rosa 'Verschuren')」/ハイブリッド・ティ・ローズ
四季咲き性 八重咲き
木立性 樹高 0.8~1.5m
花色は淡桃色で花径9cm、花弁17~25枚の丸弁八重咲き。香りはダマスク系+ティ系の中~強香。
作出: 1904年、オランダ
作出者: ヘンドリクス・"ヘンス"・アントニ・ヘルシューレン(Hendrikus "Hens" Antoni Verschuren、1844~1918年)
交配: Souvenir de la Reine d'Angleterre の実生。
・ HP「スヴニール・ドゥ・ラ・レーヌ・ダングルテール(Rosa 'Souvenir de la Reine d'Angleterre')」
1855年以前にフランスで作出された、花色は桃色で花径12cm、花弁17~25枚の丸弁八重咲き。四季咲き。香りは微香。作出者はピエール=フィレモン・コシェ(ペール)(Pierre-Philémon Cochet(père)、1796~1853年)。交配:HP「La Reine」の実生。
HT「ヘルシューレン(Rosa 'Verschuren')」
☆ このバラの特徴は濃緑色の葉に乳白色の斑が不規則に入っていることです。花名には作出者自身の姓を付けています。
(4) HT「マダム・ピエール・ウーレ(Rosa 'Madame Pierre Euler')」/ハイブリッド・ティ・ローズ
四季咲き性 八重咲き
木立性 樹高 1.0m
花色は淡桃色で花径10cm、半剣弁高芯咲きから咲き進むとロゼット状になります。香りはダマスク系の強香。
別名: Prima Donna
作出: 1907年以前、フランス
作出者: ピエール・ギョー(Pierre Guillot、1855~1918年)
交配: Antoine Rivoire × Killarney
・ HT「アントワーヌ・リヴォワール(Rosa 'Antoine Rivoire')」
1895年にフランスで作出された、花色は淡桃色で花径9㎝ほど、花弁25~40枚の丸弁八重咲き。香りはティ系の中香。作出者はジョゼフ・ペルネ=デュシェ(Joseph Pernet-Ducher、1859~1928年)。交配:T「Dr. Grill」× HT「Lady Mary Fitzwilliam」
・ HT「キラーニー(Rosa 'Killarney')」
1898年にイギリスで作出された、花色は淡桃色で花径10㎝ほどの半八重~八重咲き。香りは微香。作出者はアレグザンダー・ディクソン2世(Alexander Dickson II、1857~1949年)。交配:HT「Mrs. W. J. Grant」× HT「Charles J. Grahame」
☆ 花名の「Madame Pierre Euler」は、リヨンの花の静物画家ピエール=ニコラ・ウーレ(Pierre-Nicolas Euler、1846~1915年)の妻マリ=アントワネット・アデル・グロボン・ウーレ(Marie-Antoinette Adèle Grobon Euler)に因むそうです。
画家ピエール=ニコラ・ウーレはギヨー社のバラのカタログの表紙を複数描いていたとのことで、ウーレ夫人に1907年発表のピエール・ギョー作出のバラが感謝の意を込めて捧げられたそうです。
(5) HT「セプテンバー・モーン(Rose 'September Morn')」/ハイブリッド・ティ・ローズ
四季咲き性 八重咲き
木立性 樹高 1.2m
花色は桃色で花径10~12cm、花弁60~150枚ともいわれ、半剣弁咲きから咲き進むとロゼット状になります。香りはダマスク系の強香。
発見: 1913年、アメリカ
発見者: ディータリヒ & ターナー(Dieterich & Turner)
交配: Madame Pierre Eulerの枝変わり
・ HT「マダム・ピエール・ウーレ(Rosa 'Madame Pierre Euler')」
1907年以前にフランスで作出された、花色は桃色で花径10㎝、半剣弁高芯咲きから咲き進むとロゼット状になります。香りはダマスク系の強香。作出者はピエール・ギョー(Pierre Guillot、1855~1918年)。交配:HT「Antoine Rivoire」× HT「Killarney」
☆ 「September Morn」は英語で、少し詩的な「9月の朝」の意味だそうです。
[morn]は、ゲルマン祖語[murgana(朝)]由来の語の変化形で、「[morn]+[ing] → morning」と同意。[morning]は日常的な言葉で、[morn]の方が詩的な雰囲気のある言葉とのことです。
(6) HT「ラディアンス(Rosa 'Radiance')」/ハイブリッド・ティ・ローズ
四季咲き性 八重咲き
木立性 樹高 1.2~1.5m
花色は桃色で花径8cm、花弁17~25枚の丸弁八重咲き。香りはダマスク系の強香。
作出: 1908年、アメリカ
作出者: ジョン・クック(John Cook、1833~1929年)
HT「ラディアンス(Rosa 'Radiance')
交配: Enchanter × Cardinal
・ HT「エンチャンター(Rosa 'Enchanter')」
1903年にアメリカで作出された、花色は濃桃色で花弁26~40枚のカップ咲き。作出者はジョン・クック(John Cook、1833~1929年)。交配:HT「Madame Caroline Testout」× HT「Mademoiselle Alice Furon」
・ HT「カーディナル(Rosa 'Cardinal')」
1904年にアメリカで作出された、花色は濃赤色で花弁17~25枚のカップ咲き。香りはティ系の強香。作出者はジョン・クック(John Cook、1833~1929年)。交配:HT「Liberty」× 無名の実生。
☆ 花名の「Radiance」は英語の名詞で、意味は「輝き、光輝、光彩、光沢、等々。美しく輝く光や様子を表し、物だけでなく人にも用いる言葉で、放つ美しい光や輝きを表す際に使われることが多い」そうです。
(7) HT「エヴァ・ドゥ・グロスーヴル(Rosa 'Eva de Grossouvre')」/ハイブリッド・ティ・ローズ
四季咲き性 八重咲き
木立性 樹高 1.3m
花色は淡桃色で花径9cm、花弁17~25枚の丸弁カップ咲き。香りはダマスク系+ティ系の中香。
作出: 1908年、フランス
作出者: ピエール・ギヨー(Pierre Guillot、1855~1918年)
交配: Mrs.W.J.Grant の実生
・ HT「ミセス W.J.グラント(Rosa 'Mrs.W.J.Grant')」
1892年以前に北アイルランドで作出された、花色は桃色で花弁17~25枚の剣弁高芯咲き。香りは中香。作出者はアレグザンダー・ディクソン2世(Alexander Dickson II、1857~1949年)。交配:HT「La France」× HT「Lady Mary Fitzwilliam」。別名:Belle Siebrecht。
HT「エヴァ・ドゥ・グロスーヴル(Rosa 'Eva de Grossouvre')」
☆ 「ラ・フランス」の孫バラです。花名「Eva de Grossouvre」は、フランス語圏の女性の名前であろうと思いますが、詳細はわかりませんでした。
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by lathehana
| 2026-05-19 15:54
| 桃色系バラ
(B) 21. [桃色系バラ/四季咲き/八重咲き] - 3
〈もくじ〉
(1) B「スヴニール・ドゥ・ラ・マルメゾン(Rosa 'Souvenir de la Malmaison')」
(2) B「ルーソン・ゴア(Rosa 'Leveson Gower')」
(3) Pol「ミニョネット(Rosa 'Mignonette')」
(4) Pol「セシル・ブルンナー(Rosa 'Cécile Brunner')」または「セシル・ブリュンナー(Rosa 'Cécile Brünner)」
(5) Pol「レオニー・ラメッシュ(Rosa 'Léonie Lamesch')」
(6) Pol「フェアリー・クイーン(Rosa 'Fairy Queen')」
(1) B「スヴニール・ドゥ・ラ・マルメゾン(Rosa 'Souvenir de la Malmaison')」/ブルボン・ローズ
「ブルボン・ローズ(Bourbon Rose/略称:B)」の名は、最初の品種が19世紀の初め、当時フランスの植民地であったインド洋のブルボン島(l'île Bourbon/現在:ラ・レユニオン島[l'île de La Réunion])で発見されたことによるそうです。発見された最初のブルボン種についての詳細は定かではないのですが、島民が生垣用に育てていた芳香のある大輪の花をつける、四季咲き性で強健なバラと伝えられていて、返り咲きする「ダマスク・ローズ(Damask Rose)」と中国のバラが自然交雑して誕生したのではないかといわれています。このバラの種子はフランスに送られ、フランスの育種家たちはブルボン・ローズの新品種を次々誕生させ、花を次々に咲かせるバラとして喜ばれ、フランスで流行したそうです。
ブルボン・ローズ系統は、多花性で香りが豊かな四季咲き性や返り咲き性の品種が多く、生育旺盛で大型になる品種も多くあります。花の特徴としては、白色、桃色、赤色系のカップ咲きの品種が多いことです。
四季咲き性 八重咲き
木立性 樹高 1m
花色は淡桃色で花径8~9cmのカップ咲きで咲き進むとロゼット咲き。香りはダマスク系+ティ系の強香。
作出: 1843年、フランス
作出者: ジャン・ベリューズ(Jean Béluze、1793~1869年)
交配: Madame Desprez × Tea Rose
・ N「マダム・デプレ(Rosa 'Madame Desprez')」
1831年にフランスで作出された、花色は桃色で花径8~9cm、花弁26~40枚のカップ咲きで咲き進むとロゼット咲き。返り咲き性。作出者はジャン・デプレ(Jean Desprez)。交配:B,HCh「Rose Edouard」の実生。
・ B,Hch「ローズ・エドゥアール(Rosa 'Rose Edouard')」
最初のブルボン種については、その詳細は定かではないそうですが、ブルボン島の人たちは、大輪で芳香のある花をつける四季咲き性で強健な桃色や赤色のこの種のバラを「ローズ・エドワード (Rose Edouard /le rosier 'Édouard')」と呼んで生垣用に育てていたそうです。交配は(D「Quatre Saisons Tous-les-Mois」× Ch「Old Blush」)と考えられているようです。
この島の植物園の初代園長で植物学者の二コラ・ブレオン(Nicolas Bréon、1785~1864年)は、自然交配で生まれたこのバラの種子を、当時オルレアン公ルイ=フィリップ(Louis-Philippe d’Orléans, duc d’Orléans、1773-1850年。後のオルレアン朝国王ルイ=フィリップ1世/Louis-Philippe Ier、在位:1830~1848年)の庭園で働いていた友人アンリ=アントワーヌ・ジャック(Henri-Antoine Jacques、1782~1866年)に送ります。
種子を受け取ったアンリ=アントワーヌ・ジャックは育種家でバラの専門家でした。彼の育てた実生の苗は「ブルボン島のバラ(Rosiers de l'île Bourbon)、ブルボン・ローズ(Rosier Bourbon)」と呼ばれ、フランスで人気を博したそうです。
☆ 花名「Souvenir de la Malmaison」はフランス語で、意味は「マルメゾンの思い出」となります。
「la Malmaison」は、ナポレオン・ボナパルト(Napoléon Bonaparte、1769~1821年)の妻ジョゼフィーヌ・ドゥ・ボアルネ(Joséphine de Beauharnais、1763~1814年)の居城マルメゾン城(Le château de Malmaison、1799年にジョゼフィーヌとナポレオンが購入)でした。城の庭園には、250種にのぼるバラが栽培されていた有名なバラ園があったそうです。このバラは、ジョセフィーヌ没後30年ほど経て作出されたそうです。
パリの郊外にあるこの城は、現在は国立博物館(Musée national des châteaux de Malmaison et de Bois-Préau)になっています。
(2) B「ルーソン・ゴア(Rosa 'Leveson Gower')」/ブルボン・ローズ
四季咲き性 八重咲き
木立性 樹高 1.0~1.2m
花色は桃色で花径8~9cm、花弁26~40枚のカップ咲きで咲き進むとロゼット咲き。香りはダマスク系+ティ系の中香。
作出: 1846年、フランス
作出者: ジャン・ベリューズ(Jean Béluze、1793~1869年)
交配: 不明。(B「スヴニール・ドゥ・ラ・マルメゾン」の枝変わり説もそれを否定説も見受けられます。)
☆ 花名は、イギリスの政治家・初代グランヴィル伯爵グランヴィル・ルーソン=ゴア(Granville Leveson-Gower,1st Earl Granville、1773~1846年)に因むそうで、命名は没年の1846年とのことです。
初代グランヴィル伯爵グランヴィル・ルーソン=ゴアは、外交官として在ロシア大使や在フランス大使を務め、特に在フランス大使は「1824~1828年、1830~1835年、1835~1841年」の3期在任したそうです。
(3) Pol「ミニョネット(Rosa 'Mignonette')」/ポリアンサ・ローズ
ポリアンサ・ローズ(Polyantha Rose/略称: Pol)系は、ノイバラ(Rosa multiflora)と中国の矮性のコウシンバラであるロサ・キネンシス・ミニマ(Rosa chinensis minima)との交配で生まれたバラを祖として、様々な交配を行った結果、生まれた系統で、花径3~5cmの小輪房咲きの四季咲き性の品種が多く、耐病性、耐寒性に優れています。
系統名「Polyantha」は、「Poly-」はギリシア語の「πολύς/polús/多くの」に由来する接頭辞 +「antha」はギリシア語の「άνθος/anthos/花」に由来 →「Polyantha」=「多花性」、「Polyantha Rose」は「多花性のバラ」の意味になります。
また、「Rosa polyantha」は、「ノイバラ(野茨)」の別名:Rosa polyantha Siebold et Zucc.(1845)でもありますので、
19世紀末の「ポリアンサ・ローズ系統」の第1号が発表された当時「Rosa multiflora(ノイバラ)」の別名が Rosa Polyantha(ロサ・ポリアンタ)であったことから系統名が「ポリアンサ・ローズ」になったそうです。
四季咲き性 八重咲き
木立性 樹高 0.4~0.9m
花色は淡桃色で咲き進むと白色になります。花径3.0~3.5cmで花弁17~25枚の八重咲き。香りはスパイス系の中香。
作出: 1872年、フランス
作出者: ジャン=バティスト・アンドレ・(フィス)・ギヨー(Jean-Baptiste André(fils) Guillot、1827-1893年)
交配: 「Rosa Polyantha」の実生 × China Rose
・ Sp「Rosa Polyantha」/Sp「Rosa multiflora 'Polyantha'」
Rosa polyantha Siebold et Zucc.(1845)。「ノイバラ(野茨)/Rosa multiflora」の別名でもあります。」
1823~1829年と1859~1862年に日本に滞在したドイツ人の医師で博物学者のフィリップ・フランツ・バルタザール・フォン・シーボルト(Philipp Franz Balthasar von Siebold、1796~1866年/命名者略記:Siebold)と、シーボルトとともに日本の植物を研究・報告したドイツの植物学者でミュンヘン大学教授のヨーゼフ・ゲアハルト・ツッカリーニ(Joseph Gerhard (von) Zuccarini、1797~1848年/命名者略記:Zucc.)は、1845年に、「ノイバラ」を「ロサ・ポリアンサ」と命名しましたが、ノイバラにはロサ・ムルティフロラの学名が既に発表されていました。
したがって、「(Rosa Polyanthaの実生)× China Rose」は、チャイナ・ローズ系のノイバラの交配種「ハイブリッド・ムルティフローラ(Hybrid Multiflora/略号:HMult)」です。
☆ 花名「Mignonette」はフランス語で、形容詞 mignon(ミニョン/小さくてかわいい)の[女性形 mignonne(ミニョンヌ)] に 小さいことを示す女性形接尾辞の[ette] が付いた形で、mignonne(小さくてかわいい)を強調していて、「mignonette(小さくてキュートでかわいい)」程度の意味になります。
(4) Pol「セシル・ブルンナー(Rosa 'Cécile Brunner')」または「セシル・ブリュンナー(Rosa 'Cécile Brünner)」/ポリアンサ・ローズ
四季咲き性 八重咲き
木立性 樹高 0.5~0.7m
花色は淡桃色で花径3~4cm、花弁30枚ほどの八重咲き。香りはティ系の中~微香。
別名: Mademoiselle Cécile Brünner(Brunner)、他。
作出: 1880年以前、フランス
作出者: マリ・セルラン・デュシェ(Marie Serlin Ducher、1834~1881年)。クロード・デュシェ(Claude Ducher、1820~1874年)夫人で、夫の死後の1874~1881年の約7年間、マリ・ヴーヴ・デュシェ(Marie Veuve Ducher/デュシェ未亡人のマリ)の名で夫の事業を継承し、20種類以上の新種を市場に投入したそうです。
交配: Polyantha alba plena × Madame de Tartas
・ HMult「ポリアンタ・アルバ・プルナ(Rosa 'Polyantha alba plena')」
1872年にフランスで作出された、花色は乳白色で半八重~八重咲きの小輪種。一季咲き性。作出者はジャン=バティスト・アンドレ(フィス)・ギョー(Jean-Baptiste André (fils) Guillot、1827~1893年)。交配:HMult「Rosa polyantha Hort.」の実生。
・ T「マダム・ドゥ・タルタ(Rosa 'Madame de Tartas')」
1859年にフランスで作出された、花色は淡桃色で花弁26~40枚の八重カップ咲き。香りはティ系の強香。作出者はピエール・ベルネード(Pierre Bernède (1824~1888年)。交配は不明。
☆ 花名はスイス・ローザンヌ出身のバラ栽培者ウルリッヒ・ブルンナー・フィス(Ulrich Brunner[Brünner])の姉妹または娘のセシル(Cécile)に因むそうです。
ちなみに、色名表記に「Cécile Brünner (淡いシェルピンク)」や「St Cecilia (パールピンク)」があるそうです。
(5) Pol「レオニー・ラメッシュ(Rosa 'Léonie Lamesch')」/ポリアンサ・ローズ
四季咲き性 八重咲き
木立性 樹高 0.5〜0.9m
花色は朱色がかった濃桃色で花径4cm、花弁17~25枚のカップ咲き。香りは中香。
作出: 1899年、ドイツ
作出者: ペーター・ランベルト(Peter Lambert、1859年または1860年~1939年)
交配: Aglaïa × (Mignonette × Shirley Hibberd)
・ HMult「アグライア(Rosa 'Aglaïa')」
1896年にドイツ(アルザス)で作出された、花色は淡黄色で花径6cmほど、花弁17~25枚の八重咲き。一季咲き性。香りはティ系の中香。作出者は J. B.シュミット(J. B. Schmitt)。交配:HMult「Rosa polyantha Hort.」× N「Rêve d'Or」。(アルザスは1870~1918年の期間はドイツの領土でした)。
・ Pol「ミニョネット(Rosa 'Mignonette')」
1872年にフランスで作出された、花色は淡桃色で花径3.0~3.5cm、花弁17~25枚の八重咲き。香りはスパイス系の中香。作出者はジャン=バティスト・アンドレ・(フィス)・ギヨー(Jean-Baptiste André(fils) Guillot、1827-1893年)。交配:Sp「Rosa Polyantha」の実生 × China Rose。
・ T「シャーリー・ヒバード(Rosa 'Shirley Hibberd')」
1873年にフランスで作出された、花色は黄色で花弁17~25枚の八重咲き中輪種。作出者はアントワーヌ・ルヴェ(ペール)(Antoine Levet (père)、1818~1891年)。交配:T「Madame Falcot」の実生。
☆ 花名は作出者ペーター・ランベルト(Peter Lambert)の恋人でルクセンブルクの種苗家ジャン=バティスト・ラメッシュ(Jean-Baptiste Lamesch)の娘レオニー・ラメッシュ(Léonie Lamesch)に因むそうです。そして、結婚後の1913年には、新たに作出したハイブリッド・パーペチュアル・ローズにHP「レオニー・ランベール(Rosa 'Léonie Lambert')」の名を冠して妻に捧げたとのことです。
(6) Pol「フェアリー・クイーン(Rosa 'Fairy Queen')」/ポリアンサ・ローズ
四季咲き性 八重咲き
木立性 樹高 0.9m
花色は濃桃色~紅色で花径3~5cm、花弁30枚ほどの八重咲き。香りはリンゴのようなフルーツ系の微香。
発見: 1992年頃、オランダ
発見者: R.A.フレンス(R.A. Vurens)
交配: Lovely Fairyの枝変わり
・ Pol「ラヴリー・フェアリー(Rosa 'Lovely Fairy')」
1990年にオランダで発見された、花色は桃色で花径3~4cm、花弁21~36枚の八重咲き。香りはフルーツ系の中香。発見者はヘッテ・シブレン・スペック(Hette Sybren Spek、1943~2015年)。交配:Pol「The Fairy」の枝変わり。
・ Pol「ザ・フェアリー(Rosa 'The Fairy')」
1932年にイギリスでで作出された、花色は淡桃色~桃色で花径3.5~4.0cm、花弁25枚ほどの八重咲き。香りはリンゴのようなフルーツ系の微香。作出者はアン&ジョン・ベントール夫妻(Ann & John Bentall)。交配:Pol「Paul Crampel」× HWich「Lady Gay」。
☆ 花名は「ザ・フェアリー(Rosa 'The Fairy')」→「ラヴリー・フェアリー(Lovely Fairy')」→「フェアリー・クイーン(Rosa 'Fairy Queen')」と英語の「Fairy/妖精」が付けられています。多分、花容が妖精を連想させるのでしょう。
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by lathehana
| 2026-04-21 20:29
| 桃色系バラ
(B) 20. [桃色系バラ/四季咲き/八重咲き] - 2
〈もくじ〉
(1) T「マダム・ブラヴィ(Rosa 'Madame Bravy')」
(2) T「コンテス・ドゥ・ラバルト(Rosa 'Comtesse de Labarthe')」
(3) T「ロック・ヒル・ピーチ・ティー(Rosa 'Rock Hill Peach Tea')」
(4) T「アンナ・オリヴィエ(Rosa 'Anna Olivier')」
(5) T「ジャン デュシェ(Rosa 'Jean Ducher')」
(6) T「アルシデュク・ジョセフ(Rosa 'Archiduc Joseph')」
(7) T「バロンヌ・アンリエット・ドゥ・スノイ(Rosa 'Baronne Henriette de Snoy')」
(8) T「クレメンティーナ・カルボニエーリ(Rosa 'Clementina Carbonieri')」
(1) T「マダム・ブラヴィ(Rosa 'Madame Bravy')」/ティ・ローズ
ティ・ローズ(Tea Rose/略号:T)は、中国のバラの中でも野生種のSp「ロサ・ギガンティア(Rosa gigantea)」に由来する紅茶の香りが特徴のバラで、19世紀に中国からヨーロッパへ渡ったといわれている「ヒュームズ・ブラッシュ・ティ=センティド・チャイナ(Rosa 'Hume's Blush Tea-scented China)」と「パークス・イエロー・ティ=センティド・チャイナ(Rosa 'Parks'Yellow Tea-scented China)」を起源とする系統です。
四季咲き性 八重咲き
木立性 樹高 0.9~1.0m
花色は白色に近い杏色がかった淡桃色で花径は6.5cm、花弁26~40枚のカップ咲き。香りはティ系の中香。
作出: 1846年、フランス
作出者: ギョー(Guillot)
交配: 不明
☆ 花名は、フランスの中央高地に位置する都市クレルモン=フェラン(Clermont-Ferrand)の苗木栽培業者ジルベール・ブラヴィ(Gilbert Bravy)の夫人に因むそうです。
ジルベール・ブラヴィは、1846年からフランス国立園芸協会(La Société nationale d'horticulture de France/略号:SNHF)の前身の一つであった園芸総合サークル(Cercle général d'horticulture)の名誉会員であったとのことです。
(2) T「コンテス・ドゥ・ラバルト(Rosa 'Comtesse de Labarthe')」/ティ・ローズ
四季咲き性 八重咲き
木立性で半直立形 樹高 0.9~2.5m
花色は桃色で花径7~8cm、花弁45枚ほどのカップ咲きから咲き進むとロゼット咲き。香りはティ系の中香。
別名: Duchesse de Brabant、Bella Helena、他。
作出: 1857年、フランス
作出者: ピエール・ベルネード(Pierre Bernède、1824~1888年)
交配: 不明
☆ 花名「Comtesse de Labarthe」はフランス語で、意味は「ラバルト伯爵夫人」となります。具体的には、ラバルト伯爵(Comte de Labarthe)のルイ・クロード・ギュスターヴ・ドゥ・トマ・ドゥ・ラバルトと1832年に結婚したラバルト伯爵夫人(Comtesse de Labarthe)のオーガスタ・ル・フォレスティエ・ドゥ・ヴァンドゥーヴルに因むそうです。
ラバルト伯爵のルイ・クロード・ギュスターヴ・ドゥ・トマ・ドゥ・ラバルト(Louis Claude Gustave de Thomas de Labarthe、1808~1879年)は、フランス北西部、ノルマンディー地域圏カルヴァドス県(le département du Calvados en région Normandie)のサン=ヴァ=シュル=スール(Saint-Vaast-sur-Seulles)で生まれ、63歳でこの地で亡くなった士官であったとのことです。
一方、妻のラバルト伯爵夫人のオーガスタ・ル・フォレスティエ・ドゥ・ヴァンドゥーヴル(Augusta Le Forestier de Vendeuvre、1811~1893年)は、カルヴァドス県のカーン(Caen)市ヴァンドゥーブル生まれ、サン=ヴァ=シュル=スール没で、ラバルト伯爵夫人の父ヴァンドゥーヴル伯爵・オーギュスタン=ルイ・ル・フォレスティエ・ドゥ・ヴァンドゥーヴル(Comte de Vendeuvre、Augustin-Louis Le Forestier de Vendeuvre、1786~1862年)は政治家で、カーン(Caen)市長やイル=エ=ヴィレーヌ県とモーゼル県の知事を務めた人物だったそうです。
イル=エ=ヴィレーヌ県(le département de Ille-et-Vilaine)はノルマンディー地域圏西隣りのブルターニュ地域圏(la région Bretagne)の県で、モーゼル県(le département de la Moselle)はフランス北東部、現在はグラン・テスト地域圏(la région Grand Est)内の県です。
作出者のピエール・ベルネードとラバルト伯爵夫人の関係や命名の経緯については分かりませんでした。
・ 別名の「デュシェス・ドゥ・ブラバン(Rosa 'Duchesse de Brabant')」はフランス語で「ブラバン女公爵またはブラバン公爵夫人」。
この花名はアメリカ市場に導入する際に付けられたとみられているそうです。「Duchesse de Brabant」名にした理由は分かりませんでしたが、伝承や民話等で有名な「白鳥の騎士ローエングリン」に登場する「ブラバン女公爵」の知名度が高かったからかもしれないと思いました。それに、1850年にはリヒャルト・ワーグナー(Richard Wagner、1813~1883年)の『ローエングリン(Lohengrin)』が、フランツ・リスト(Franz Liszt/ハンガリー語ではLiszt Ferenc、1811~1886年)の指揮でワイマール(Weimar)で初演されていることもありますし…。
T「コンテス・ドゥ・ラバルト(Rosa 'Comtesse de Labarthe')」
(3) T「ロック・ヒル・ピーチ・ティー(Rosa 'Rock Hill Peach Tea')」/ティ・ローズ
四季咲き性 八重咲き
木立性で半直立形 樹高約1m
花色は淡桃色で花径7~8cmのカップ咲き。香りはダマスク系の微香。
発見: 2001年以前、アメリカ
発見者: ルース・クノップフ(Ruth Knopf)
交配: Madame Joseph Schwartz の枝変わり
・ T「マダム・ジョゼフ・シュワルツ(Rosa 'Madame Joseph Schwartz')」
1880年以前にフランスで発見された、花色は桃色がかった白色で花径7cm、花弁17~25枚の八重カップ咲き。香りはティ系+フルーツ系の中香。発見者はジョゼフ・シュワルツ(Joseph Schwartz)。交配:T「Comtesse de Labarthe」の枝変わり。
☆ バラ「ロック・ヒル・ピーチ・ティー」は、アメリカ、サウスカロライナ州(South Carolina)の都市ロックヒル(Rock Hill)で発見されたといわれています。花名は発見地に因むようです。
(4) T「アンナ・オリヴィエ(Rosa 'Anna Olivier')」/ティ・ローズ
四季咲き性 八重咲き
木立性 樹高1m
花色は杏色がかった淡桃色で中心は黄色がかかります。花径7~8cmで花弁26~40枚の半剣弁高芯咲き。香りはティ系の中~強香。
作出: 1872年、フランス
作出者: クロード・デュシェ(Claude Ducher、1820~1874年)
交配:不明
☆ 花名についての情報は見つけられませんでした。
作出者名はクロード・デュシェ(Claude Ducher)と ジャン=クロード・デュシェ(Jean-Claude Ducher)の二つを見かけます。どちらが正しいのか不明ですが、展示会のカタログなどフランス語の資料の表記は「クロード・デュシェ(Claude Ducher」のようです。
(5) T「ジャン・デュシェ(Rosa 'Jean Ducher')」/ティ・ローズ
四季咲き性 八重咲き
木立性 樹高 1.0~1.2m
花色は淡桃色で花径7~8cm、半剣弁高芯咲き。香りはティ系の中香。
作出: 1874年、フランス
作出者: マリ・セルラン・デュシェ(Marie Serlin Ducher、1834~1881年)。クロード・デュシェ(Claude Ducher、1820~1874年)夫人で、夫の死後の1874~1881年の約7年間、マリ・ヴーヴ・デュシェ(Marie Veuve Ducher/デュシェ未亡人のマリ)の名で夫の事業を継承し、20種類以上の新種を市場に投入したそうです。
交配: 不明
☆ 作出者については、「クロード・デュシェが生前作出していて発表する前に亡くなったので、妻のマリが夫の死後1874年に発表した」とのクロード作出説と「夫が育成中だった新種をマリが完成させて1874年に市場に投入した」説の二つがあるようです。
花名の「ジャン・デュシェ(Jean Ducher)」についても、わかりませんでした。
マリ・デュシェの夫の名が「クロード」ではなくて「ジャン=クロード」であったとしても、「ジャン」と「ジャン=クロード」は異なる名前ですので、ジャン=クロードをジャンとは呼ばないと思います。「Jean Claude」と違って「Jean-Claude」は一つのなまえですので。
(6) T「アルシデュク・ジョセフ(Rosa 'Archiduc Joseph')」/ティ・ローズ
四季咲き性 八重咲き
木立性 樹高 1.0~2.0m
花色は桃色で花径7~8cm、カップ咲きから咲き進むとロゼット咲き。香りはティ系の中香。
作出: 1892年、フランス
作出者: ジルベール・ナボナン(Gilbert Nabonnand、1828~1903年)
交配: Madame Lambard の実生
・ T「マダム・ランバール(Rosa 'Madame Lambard')」
1877年にフランスで作出された、花色は濃桃色で花弁40枚ほどのカップ咲き大輪種。香りはティ系の微香。作出者はフランソワ・ラシャルム(François Lacharme、1817~1887年)。交配:T「Madame de Tartas」の実生。
☆ 花名「Archiduc Joseph」はフランス語で、意味は「大公ジョゼフ」。具体的にはオーストリア大公でハプスブルク=ロートリンゲン家の分家ハンガリー宮中伯家のヨーゼフ・カール・ルートヴィヒ・フォン・エスターライヒ(Joseph Karl Ludwig von Österreich、1833~1905年)に因むそうです。ヨーゼフ大公は、軍人、政治家、実業家で、植物学者、言語学者でもあったそうです。
(7) T「バロンヌ・アンリエット・ドゥ・スノイ(Rosa 'Baronne Henriette de Snoy')」/ティ・ローズ
四季咲き性 八重咲き
木立性 樹高 1.2~1.5m
花色は淡桃色で花径8~9cm、花弁17~25枚のカップ咲きの大輪種。香りはティ系の強香。
作出: 1897年、フランス
作出者: ジャン・アレクサンドル・ベルネックス(Jean Alexandre Bernaix、1831~1905年)
交配: Gloire de Dijon × Madame Lambard
・ HT「グロワール・ドゥ・ディジョン(Rosa 'Gloire de Dijon')」
1849年以前にフランスで作出された、花色は杏黄色がかった淡桃色で花径12cm、花弁40枚ほどの剣弁咲きから咲き進むとロゼット咲き。香りはティ系の中~強香。作出者はピエール・ジャコットとアンリ・ジャコットの父子(Pierre Jacotot père、Henri Jacotot fils)。交配:N「Desprez à Fleur Jaune」× B「Souvenir de la Malmaison」。
・ T「マダム・ランバール(Rosa 'Madame Lambard')」
1877年にフランスで作出された、花色は濃桃色で花弁40枚ほどのカップ咲き。香りはティ系の微香。作出者はフランソワ・ラシャルム(François Lacharme、1817~1887年)。交配:T「Madame de Tartas」の実生。
T「バロンヌ・アンリエット・ドゥ・スノイ
(Rosa 'Baronne Henriette de Snoy')」
☆ 花名は、ベルギーの国会議員であったジョルジュ・スノイ男爵(Baron Georges Snoy、1844~1923年)の娘アンリエット・スノイ男爵令嬢(Baronne Henriette de Snoy、1873~1957年)に因むそうです。
(8) T「クレメンティーナ・カルボニエーリ(Rosa 'Clementina Carbonieri')」/ティ・ローズ
四季咲き性 八重咲き
木立性 樹高 1.0~1.4m
花色は橙色がかった桃色で花径7~8cm、花弁26~40枚のカップ咲きから咲き進むとロゼット咲き。香りはティ系の中香。
作出: 1913年、イタリア
作出者: マッシミリアーノ・ローディ(Massimiliano Lodi、1863~1930年)
交配: Kaiserin Auguste Viktoria × Souvenir de Catherine Guillot
・ HT「カイザリン・アウグステ・ヴィクトリア(Rosa 'Kaiserin Auguste Viktoria')」
1890年にドイツで作出された、花色は乳白色で花径10cmの半剣弁高芯咲き。香りはティ系の微香。作出者はペーター・ランベルト(Peter Lambert、1859年または1860年~1939年)。交配:T「Coquette de Lyon」× HT「Lady Mary Fitzwilliam」。
・ T「スヴニール・ドゥ・カトリーヌ・ギョー(Rosa 'Souvenir de Catherine Guillot')」
1895年にフランスで作出された、花色が朱色がかった桃色の半八重~八重咲きの中輪種。香りはティ系の強香。作出者はピエール・ギョー(Pierre Guillot、1855年-1918年)。交配は不明。
☆ 花名は、フランチェスコ・カルボニエーリ(Francesco Carbonieri、1886~1960年)の妻の名に因むそうです。
フランチェスコ・カルボニエーリはイタリア、エミリア=ロマーニャ州(Emilia-Romagna)モーデナ(Modena)の裕福な地主の家に生まれ、園芸と写真に関心が強かったそうです。
アマチュア写真家として有名で、家族や友人知人が被写体の彼の写真は、1910年代、1920年代のブルジョアジーの豪華でコスモポリタンな暮らしや、その時代の持つ雰囲気を伝えているといわれています。カルボニエーリの写真は、モーデナ写真財団(Fondazione Fotografia Modena)のコレクション等に収められているとのことです。
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by lathehana
| 2026-03-26 22:47
| 桃色系バラ
(B) 19. [桃色系バラ/四季咲き/八重咲き] - 1
〈もくじ〉
(1) Ch/T「ヒュームズ・ブラッシュ・ティ=センティド・チャイナ(Rosa 'Hume's Blush Tea-scented China')」
(2) Ch「ル・ヴェジューヴ (Rosa 'Le Vésuve')」
(3) Ch「エルモサ(Rosa 'Hermosa')」
(4) Ch「ルイ=フィリップ(Rosa 'Louis-Philippe')」
(5) Ch「ソフィーズ・パーペチュアル(Rosa 'Sophie's Perpetual')」
(1) Ch/T「ヒュームズ・ブラッシュ・ティ=センティド・チャイナ(Rosa 'Hume's Blush Tea-scented China')」/チャイナ・ローズ、ティ・ローズ
チャイナ・ローズ(China Rose/略号:Ch)は、中国のバラの中でもロサ・キネンシス(Rosa chinensis/庚申バラ)に由来する園芸種の系統です。18世紀後半にヨーロッパへ渡り、交配でたくさんのバラの品種を四季咲きに導き、赤色の花色を伝えたバラとして有名です。
ティ・ローズ(Tea Rose/略号:T)は、中国のバラの中でも野生種のSp「ロサ・ギガンティア(Rosa gigantea)」に由来する紅茶の香りが特徴のバラで、19世紀に中国からヨーロッパへ渡ったといわれている「ヒュームズ・ブラッシュ・ティ=センティド・チャイナ(Rosa 'Hume's Blush Tea-scented China')」と「パークス・イエロー・ティ=センティド・チャイナ(Rosa 'Parks'Yellow Tea-scented China')」を起源とする系統です。
四季咲き性 八重咲き
木立性 樹高 1.0~1.2m
花色は淡桃色で花径6~8cm、高芯八重咲き。香りはティ系の微香。
別名: Rosa×odorata、彩晕香水月季
交配: ロサ・キネンシス(Rosa chinensis)とロサ・ギガンティア(Rosa gigantea)の自然交雑で誕生したといわれています。
☆ 花名は、イギリスへこのバラを紹介したエイブラハム・ヒューム(Abraham Hume、1749~1838年)に因るそうです。
ヨーロッパへの伝来は1808〜1809年にかけてで、イギリス在住のエイブラハム・ヒュームが、東インド会社を通して広東の種苗商から入手し、イギリスに導入したのが始まりといわれています。
18~19世紀に中国からヨーロッパへ伝えられて、この時代のバラに大きな影響を与えた品種の内の2系統4種を、イギリスの植物学者で遺伝学者 チャールズ・チェンバレン・ハースト博士(Dr.Charles Chamberlain Hurst、1890~1947年)は「フォー・スタッド・チャイナ(The Four Stud Chinas /4種の中国の種馬)」と呼んだそうですが、「ヒュームズ・ブラッシュ・ティ=センテッド・チャイナ」は、この「種馬4種」の一つです。
Ch/T「ヒュームズ・ブラッシュ・ティ=センティド・チャイナ(Rosa 'Hume's Blush Tea-scented China')」
(2) Ch「ル・ヴェジューヴ (Rosa 'Le Vésuve')」/チャイナ・ローズ
チャイナ・ローズ(China Rose/略号:Ch)は、中国のバラの中でもロサ・キネンシス(Rosa chinensis/庚申バラ)に由来する園芸種の系統です。18世紀後半にヨーロッパへ渡り、交配でたくさんのバラの品種を四季咲きに導き、赤色の花色を伝えたバラとして有名です。
四季咲き性 八重咲き
木立性 樹高 1m
花色は桃色で花径7cm、花弁25~40枚の剣弁八重咲き。香りはティ系の中香。
作出: 1825年、フランス
作出者: ジャン・ラフェ(Jean Laffay、1795~1878年)、ルイ・クロード・ノワゼット(Louis Claude Noisette、1772~1849年)
交配: 不明
☆ 花名の「Le Vésuve」はフランス語で、意味はイタリアのナーポリ湾岸にあるヴェスヴィオ山(Il monte Vesuvio)のことです。蕾の色は、火山を連想させますが…。
(3) Ch「エルモサ(Rosa 'Hermosa')」/チャイナ・ローズ
四季咲き性 八重咲き
木立性 樹高 0.8~0.9m
花色は桃色で花径4cm、花弁26~40枚の八重カップ咲きから咲き進むとロゼット咲き。香りはティ系の中香。
作出: 1832年、フランス
作出者: マルシェソー(Marchesseau)
交配: 不明
☆ 花名「hermosa」はスペイン語の形容詞女性形で、意味は「美しい、きれいな、立派な、等々」とのことです。
(4) Ch「ルイ=フィリップ(Rosa 'Louis-Philippe')」/チャイナ・ローズ
四季咲き性 八重咲き
木立性 樹高 0.8~1.2m
花色は紫色がかった桃色~紅色で花径4~5cm、花弁26~40枚の八重のカップ咲き。香りはティ系の微香。
Ch「ルイ=フィリップ(Rosa 'Louis-Philippe')」
作出: 1834年以前、フランス
作出者: フェリックス・ゲラン(Félix Guérin、1756~1839年)
交配: 不明
☆ 花名は、オルレアン朝のフランス国王ルイ=フィリップ1世(Louis-Philippe Ier、1773~1850年、在位:1830~1848年)に因むそうです。
(5) Ch「ソフィーズ・パーペチュアル(Rosa 'Sophie's Perpetual')」/チャイナ・ローズ
四季咲き性 八重咲き
木立性 樹高 1.2~1.5m
花色は内弁から外弁に向かって淡桃色から濃桃色のグラデーション。花径は
6cmで花弁26~40枚の八重カップ咲き。香りはフルーツ系の強香。
別名: Dresden China、Paul's Dresden China、Bengal Centifolia
作出: 1921年以前、イギリス
作出者: ジョージ・ポール(George Paul、1841~1921年)
1921年に、ポールと息子/ジョージ・ポール社(Paul and Son/George Paul)が、花名「Dresden China」でイギリス市場に導入。
再発見; 1960年頃、イングランド東部のサフォーク州(Suffolk)クレイドン(Claydon)の庭園
再発見者: トーマス・ハンフリー・ブルック(Thomas Humphrey Brooke、1914~1988年)
1972年に、サフォーク州のノットカッツ・ガーデンセンターズ株式会社(Notcutts Garden Centres Ltd.)が、花名「Sophie's Perpetual」でイギリス市場に再導入。
交配: 不明
☆ 花名は、このバラが再発見された庭園の持ち主であったソフィア・ペトロヴナ・シュヴァロワ・ベンケンドルフ伯爵夫人(графиня Софья Петровна Шувалова Бенкендорф/Countess Sof'ya Petrovna Shuvalova Benckendorff、1857年サンクトペテルブルク生~1928年サフォーク没)に因むそうです。「perpetual」は英語の形容詞で、時間的に途切れることなく続く状態を表しますので、この場合は「四季咲きの」の意味でしょう。よって、「Rosa Sophie's Perpetual」は「四季咲きバラ・ソフィー」程度の意味でしょうか。
イギリスの美術史家でバラの専門家であったトーマス・ハンフリー・ブルックが、忘れられていたバラ「Paul's Dresden China」を見つけたのは、妻ナタリー・ベンケンドルフ・ブルック(Nathalie Benckendorff Brooke、1923年モスクワ生~2019年ロンドン没)の祖母ベンケンドルフ伯爵夫人の庭であったとのことです。
・ ベンケンドルフ伯爵夫人は、帝政ロシア最後の駐英ロシア大使であったバルトドイツ系ロシア人外交官のアレクサンドル・コンスタンチーノヴィチ・ベンケンドルフ伯爵の妻です。
・ アレクサンドル・コンスタンチーノヴィチ・ベンケンドルフ伯爵(граф Александр Константинович Бенкендорф/アレクサンダー・フィリップ・コンスタンティン・ルートヴィヒ・フォン・ベンケンドルフ/独語: Graf Alexander Philipp Konstantin Ludwig von Benckendorff、1849年ベルリン生~1917年ロンドン没)は、帝政ロシアの貴族で外交官。日露戦争と第一次世界大戦時に駐英ロシア大使を務め、1917年1月11日にインフルエンザ(スペインかぜ)で死去。その2カ月後にロシア革命が起こり、ロマノフ朝は崩壊しました。
・ このバラの再発見者の妻ナタリー・ベンケンドルフ・ブルック(Наталья Бенкендорф Brooke/ナターリヤ・ベンケンドルフ・ブルック)は、アレクサンドル・コンスタンチーノヴィチ・ベンケンドルフ伯爵夫妻の長男と著名なハープ奏者マリア・コルチンスカ(Maria Korchinska)夫妻の娘で、「Venice in Peril Fund(危機に瀕したヴェネツィア基金)※」の理事。
父親 - コンスタンティン・アレクサンドロヴィチ・ベンケンドルフ伯爵(граф Константин Александрович Бенкендорф/Graf Konstantin Alexandrovich von Benckendorff、1880年ドイツ、バーデン生~1959年ロンドン没)
母親 - Maria Korchinska/マリア・アレクサンドロヴナ・(リュツィアノヴナ)・コルチンスカヤ(Мария Александровна (Люциановна) Корчинская/Maria Alexandrovna (Lyutsianovna) Korchinskaya、1895年モスクワ生~1979年ロンドン没)
※ Venice in Peril Fund(危機に瀕したヴェネツィア基金)は、1971年に設立されたヴェネツィアの芸術と建築を修復・保存し、将来のリスク、特に海面上昇からそれらを守る方法を調査するために資金を集めているイギリスの慈善団体です。
前身は、1966年のヴェネツィア大洪水へのイギリスの対応として設立された「美術品・文書館救援基金(Art & Archives Rescue Fund/略号:AARF)」(1967–1971)で、洪水の被害を受けたヴェネツィアとフィレンツェの美術品や建物の救援資金を集め、1971年に「危機に瀕したヴェネツィア基金」として再編成されるまで、保存修復活動を続けました。
別名の「Dresden China」と「Bengal Centifolia」については、花名の由来は分かりませんでした。
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by lathehana
| 2026-02-28 21:49
| 桃色系バラ
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![(B) 19. [桃色系バラ/四季咲き/八重咲き] - 1_d0375494_20114830.jpg](https://pds.exblog.jp/pds/1/202602/28/94/d0375494_20114830.jpg)
![(B) 19. [桃色系バラ/四季咲き/八重咲き] - 1_d0375494_20105493.jpg](https://pds.exblog.jp/pds/1/202602/28/94/d0375494_20105493.jpg)
![(B) 19. [桃色系バラ/四季咲き/八重咲き] - 1_d0375494_20104922.jpg](https://pds.exblog.jp/pds/1/202602/28/94/d0375494_20104922.jpg)
![(B) 19. [桃色系バラ/四季咲き/八重咲き] - 1_d0375494_20104583.jpg](https://pds.exblog.jp/pds/1/202602/28/94/d0375494_20104583.jpg)
![(B) 19. [桃色系バラ/四季咲き/八重咲き] - 1_d0375494_20103737.jpg](https://pds.exblog.jp/pds/1/202602/28/94/d0375494_20103737.jpg)

